EVの歴史を語るとき、日産リーフの名前を外すことはできません。2010年、量産EVがまだ「実験的な乗り物」と見られていた時代に、リーフはいち早く市場に出てきた先駆者です。
ただ正直に言うと、2代目リーフは「先駆者の限界」を感じさせる車でもありました。航続距離、充電速度、デザイン——いずれも時代の進化に対して一歩遅れている印象が否めず、当ブログでも以前その点を論じたことがあります。
→ 日産EVの現状と課題を考察|リーフからアリアへ、再成長へのシナリオを探る
それが今回、8年ぶりのフルモデルチェンジで様相が一変しました。第3世代となる新型リーフは、「別の車」と言っていいほどの進化を遂げています。Model Yオーナーとして、この国産EVをどう見るか——分析してみます。
第3世代リーフのスペックを整理する
まず数字を確認します。
第3世代リーフのフラッグシップ「B7」グレードは78kWhバッテリーを搭載し、最大702kmの航続距離(WLTCモード)を実現。最大150kWの急速充電に対応し、150kW充電器を使えば10〜80%まで最短35分で充電できます。
一方、エントリーグレード「B5」は55kWhバッテリーを搭載。「B5 S」の価格は約439万円で、CEV補助金を適用すると300万円台から購入できます。補助金を含めた実質価格として、B5グレードは約350万円程度を日産は目指しています。
| グレード | バッテリー | 航続距離(WLTC) | 価格(税込) | 補助金後(概算) |
|---|---|---|---|---|
| B5 S | 55kWh | 最大521km | 約439万円 | 約310万円台 |
| B5 X | 55kWh | 最大521km | 約474万円 | 約345万円台 |
| B5 G | 55kWh | — | 約565万円 | 約435万円台 |
| B7 X | 78kWh | 最大702km | 約519万円 | 約390万円台 |
| B7 G | 78kWh | 最大702km | 約600万円 | 約470万円台 |
※補助金額は2026年度の概算値です。実際の交付額は条件によって異なります。
「702km」という数字をどう読むか
カタログ値702kmというのは、日本の自動車メーカーの国内向けEVでは最長クラスの数字です。ただし、EVのカタログ航続距離は実走行でその7〜8割程度になることが多いため、実用域では500〜560km程度を想定するのが現実的でしょう。
それでも十分な数字です。茨城から大阪まで約600kmですが、B7グレードなら途中1回の急速充電でほぼカバーできる計算になります。
日産の開発陣は、神奈川県から兵庫県・広島県への走行テストを繰り返し、1回25分ほどの急速充電を3回すれば1,000kmを走破できることを確認したとしています。「航続距離が不安でEVに踏み切れない」という層にとって、この数字は確実に選択肢を変えます。
充電規格——日本仕様はCHAdeMO継続という選択
ここは重要なポイントです。日本仕様の充電規格はCHAdeMO方式を採用しています。欧州仕様はCCS方式、北米仕様はNACS(テスラのスーパーチャージャー対応)コネクターです。
CHAdeMO規格の継続は、国内の充電インフラとの整合性を重視した判断です。日本では現在もCHAdeMO対応の急速充電器が広く普及しており、既存インフラをそのまま使えるのは実用面で大きなメリットです。
一方、グローバルの潮流を見るとNACSやCCSへの移行が加速しています。中長期的に日本の充電規格がどう変わるかは注視が必要です。充電インフラ全般の話については、以下の記事もあわせてご覧ください。
→ 新型リーフ vs トヨタ bZ4X徹底比較|2026年の国産EV選びで後悔しないための戦略的アプローチ
Model Yオーナー目線での正直な評価
では、自分が乗り換えを検討するかという視点で考えてみます。
評価できる点
まず航続距離の大幅な改善は素直に評価できます。Model Y(RWD)の実用航続距離は条件によって430〜490km程度ですが、新型リーフB7はこれを上回るスペックを持っています。
次に価格。B5グレードが補助金後で300万円台から購入できるのは、国産EVとしてかなり現実的な水準です。Tesla Model Yが補助金後でもなお400万円を超えることが多い中、国産車の信頼感と合わせると選択肢として十分成立します。
さらに150kWの急速充電対応は大きな進歩です。旧型リーフの急速充電性能は最大50kWにとどまっており、これが長年のネックでした。3倍の充電速度は、長距離利用時のストレスを大幅に下げます。
気になる点
ボディサイズはクロスオーバー型に変わりましたが、Model Yと比べると室内空間・荷室容量の差は依然として感じます。子どもが2人いる家庭としては、実際に乗り込んで確かめないと判断できない部分です。
また、スーパーチャージャーのような充電ネットワークの一元管理体験は、現時点では日産側にまだ追いついていない印象があります。充電スポット探しの利便性は、実際に使い込んでみないとわからない要素です。
「乗り換え候補になるか」という問いへの答え
現時点での結論を申し上げると、「今のModel Yユーザーの乗り換え先としては検討価値が出てきた」という評価です。1〜2年前の旧型リーフであれば即答で「ない」でしたが、今回の第3世代は別の話です。
特に、以下に当てはまる方には真剣に検討する価値があります。
国産車メーカーへの信頼感を重視する方。充電をスーパーチャージャーに依存しない使い方をしている方。補助金後300〜350万円台という価格帯を重視する方。
逆に、OTAアップデートのスピード感やスーパーチャージャーの快適さを重視するなら、今のところModel Yのエコシステムの優位性は続いていると感じます。
まとめ
「量産BEVのパイオニア」であるリーフが、8年ぶりのフルモデルチェンジで航続距離702km・150kW充電対応という当代屈指のスペックを引っ提げて登場しました。
日産が経営再建の中でもEVへの投資を続け、この水準の製品を出してきたことは、素直に評価したいと思います。国産EVの選択肢がここまで充実してきたことは、EV市場全体にとってもプラスです。
日産のEV戦略の文脈でリーフの位置づけを深く知りたい方には、以下の記事もご参照ください。
→ 日産EVの現状と課題を考察|リーフからアリアへ、再成長へのシナリオを探る
試乗の機会があれば、ぜひ実際に乗り込んで確認したいと思っています。そのときはまたレポートします。
※本記事の数値・スペックは2026年4月時点の公開情報に基づきます。補助金額は概算であり、実際の交付額は申請時期・条件によって異なります。
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