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正直に言うと、「全固体電池が近づいている」というニュースは、ここ数年で何度も目にしてきました。毎年のように「2028年実用化」「量産体制整備」という言葉が躍り、「本当に来るのか」と冷静に見てきた経緯があります。

当ブログでも以前、「全固体電池を待つべきか、今のLFP搭載EVを選ぶべきか」というテーマで記事を書きました。そのときの結論は「一般ユーザーが手にできるのは楽観的に見ても2030年代前半、今のEVで経験を積みながら待つのが合理的」というものでした。

しかし今回のニュースは、少し違います。

2026年4月20日、日産自動車は技術説明会で、実際の車両に搭載するサイズ(23層セル)での全固体電池が、必要な充放電性能を達成したと発表しました。「ラボの小さなセルで実現した」という段階から、「実車スケールで証明した」という段階への前進です。これは技術開発の文脈では、大きな意味を持つ一歩です。

Model Yオーナーとして2年間EVに乗り続けてきた筆者が、今日は少し楽観的な未来を語ってみようと思います。

今回の発表、何が新しいのか

全固体電池の最小構成単位である「セル」を、実際の車両搭載規模に相当する23層まで積み重ねた状態で、必要な性能基準をクリアしたことです。2025年には試作品レベルでの性能達成が報告されていましたが、今回はより実用に近いスケールでの検証が完了しました。

性能面でいえば、現行のリチウムイオン電池と比べてエネルギー密度が約2倍、同じサイズのバッテリーを搭載した場合の航続距離が約2倍になる可能性があります。さらに高出力充電への耐性が向上するため、充電時間は現行の3分の1まで短縮できるとしています。

2028年度の量産開始に向けて、今後は製造技術の確立と量産プロセスの検討が続きます。

「実車サイズの壁」がなぜ重要か

電池の開発には、大きく分けて二つのフェーズがあります。「材料・セルレベルでの性能実証」と、「量産可能な実車スケールでの再現」です。後者のハードルは、前者の比ではありません。小さな試作セルで理論上の性能を引き出すことと、実際の車に載せるサイズで均一な品質を安定して作ることは、まったく別次元の課題です。

日産は2023年度にラボレベルで良品率100%を達成し、横浜工場にパイロット生産ラインを設置しました。そして今回、実車スケールセルでの性能達成を報告しました。このロードマップの進捗は、「また遅延した」ではなく、着実にステップを踏んでいる印象を受けます。

競合他社との比較——日産はどこに立つか

当ブログで以前触れたように、全固体電池の開発競争は日産だけが取り組んでいるわけではありません。トヨタは出光興産と組み、2027〜2028年の量産開始を目指しています。中国ではBYDのチーフサイエンティストが「臨界段階に入った」と宣言し、独自路線での開発を加速させています。スズキは2026年4月にカナデビアの全固体電池事業を買収し、電池技術の内製化に踏み込みました。

一方、日産の特徴は「自社開発」にこだわっている点です。材料の選定から生産プロセスの確立まで、外部依存を最小化した垂直統合型の開発体制を採っています。経営的には大きな赤字が続くなかでも、この路線を維持していることは、それだけ戦略的な重要性があると判断しているからでしょう。

2028年に何が起きるか——希望的観測を込めた未来予測

まず、2026年度は試作車による公道走行が計画されています。実際に全固体電池を積んだ日産車が公道を走る映像が出てくれば、開発の現実感がぐっと高まるでしょう。

2028年度の市場投入が実現した場合、最初の搭載車はおそらくフラッグシップの高価格帯モデルになると想定されます。価格面での課題は残るため、すぐに大衆車に広がるわけではありませんが、「実在する量産車に全固体電池が積まれた」という事実は、業界全体の開発スピードを一段と引き上げるはずです。

2030年代前半には、コストが徐々に下がり、ミドルクラスのEVへの搭載が現実的になってくる可能性があります。航続距離が実用域で1,000kmに近づき、充電時間がガソリン給油並みになる世界が、その頃には見えてくるかもしれません。

Model Yオーナーとして、この技術に期待すること

現在乗っているModel Yには、十分に満足しています。深夜の割安電力で自宅充電し、子どもたちの送迎から長距離ドライブまで、2年間不便なく使ってきました。ただ正直に言えば、「充電時間」だけはガソリン車に対するハンデとして残り続けています。Superchargerの性能は年々向上していますが、休日に遠出する際の「SAでの充電待ち」のストレスは、完全にはなくなっていません。

全固体電池が普及した世界では、この課題がほぼ解消されます。充電時間が現行の3分の1になれば、急速充電器での待機時間は大幅に短縮されます。家族連れでの長距離移動も、今よりずっと気軽になるでしょう。

我が家では将来的に太陽光発電とPowerwall 3の導入を検討しており、自宅での充電体験をさらに進化させたいと考えています。全固体電池が普及する頃には、EV・太陽光・蓄電池が一体化した「エネルギーの自給自足」が、今よりずっと身近なものになっているはずです。

「待つ派」と「今買う派」、どちらが正解か

以前の記事でも書いたように、この問いに一つの正解はありません。今のリチウムイオン電池搭載EVは、すでに日常使用において十分な実力を持っています。7〜10年乗り続けたあとに全固体電池EVへ乗り換えるというプランは、非常に合理的です。

一方で、「今は情報収集フェーズで、全固体電池の普及を確認してから初めてのEVを選びたい」という判断も、理解できます。2030年代前半にEVを検討する方は、その頃には選択肢が格段に広がっているでしょう。どちらにせよ、技術の進歩は止まりません。今回の日産の発表は、「EV時代はさらに進化する」という予告です。

まとめ

技術ニュースを見るとき、筆者は「懐疑的に、しかし楽しみに」というスタンスを大切にしています。全固体電池もそうです。量産の壁はまだあります。コストの課題も残ります。それでも今回の日産の発表は、「2028年が絵に描いた餅ではないかもしれない」という現実感を少し押し上げてくれました。

EVに乗り始めて2年が経ちますが、技術の進化を実感しながら乗り続けることができているのはとても楽しいです。全固体電池が普及する頃、EVはどんな存在になっているのか。今から少し楽しみにしています。


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※本記事の数値・スペックは2026年4月時点の公開情報に基づきます。技術開発の進捗やロードマップは変更される場合があります。

投稿者 TOSHI

EV・ガジェット大好きなIT業界に勤める、男の子二人、奥さん、ポメラニアンと過ごす40代。東京から地元茨城に移住し、平家戸建のITホーム化に勤しみつつ、念願のテスラを購入し楽しくドライブ中。EV、ガジェット関連の生活が便利で豊かになる情報を発信していきます。