前回の記事で「見積もりが出揃ったら、リアルな数字ごと公開する」と書きました。今回はその内容をお伝えします。
今回は、2社から届いた実際の見積書・シミュレーション資料をもとに、太陽光発電と蓄電池の現在の市場価格を整理します。社名は伏せますが、提示された金額と仕様はそのまま記載します。「参考になる相場感」として読んでいただければ幸いです。
2社へ依頼した背景と条件
前回の記事では、茨城県の平屋(約6,400 kWh/年の消費、テスラ モデルYの充電を含めると約7,233 kWh)に対して、9.9 kWクラスの太陽光発電+蓄電池13.5 kWh前後のシステムを試算しました。
今回はこれを実際の資料で検証するため、施工実績のある2社に依頼しました。どちらもハンファのパネルを中心とした提案でしたが、構成・価格体系・提示フォーマットがそれぞれ異なる内容で届きました。できる限り同じ指標で比較できるよう整理します。
A社の提案:11kWシステム(実質9.9kW運用)+蓄電池2パターン
A社からはパネル出力11kW・蓄電池2パターンのセット価格で見積もりが届きました。パネルはハンファ Re.RISE-NBC 440W × 25枚で、パワーコンディショナーの出力を9.9kW以内に設定する「過積載(高積載)設計」での申請を想定しています。住宅用FIT(前半4年間24円/kWh)が適用される構成です。
年間発電量シミュレーション:12,684 kWh(茨城県参照値、南東面・傾斜角6°)
A社 パターン①:太陽光11kW + Powerwall 13.5kWh
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 概算見積価格(太陽光+蓄電池・工事費込・税込) | 3,459,500円 |
| 補助金(太陽光) | △50,000円 |
| 実質負担額見込み | 3,409,500円 |
蓄電池機器保証10年、パワコン保証15年、出力保証30年。Powerwallはバックアップ機能付きで停電時の自動切り替えに対応します。
A社 パターン②:太陽光11kW + LiB Tower Pro 14.9kWh
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 概算見積価格(太陽光+蓄電池・工事費込・税込) | 3,239,500円 |
| 補助金(太陽光) | △50,000円 |
| 補助金(蓄電池) | △50,000円 |
| DR家庭用蓄電池補助(R7補正) | △457,900円 |
| 実質負担額見込み | 2,681,600円 |
蓄電池機器保証15年(パワコン含む)。国の「DR家庭用蓄電池事業(令和7年度補正)」の対象となるため、補助金合計は557,900円と大きくなります。
B社の見積もり:太陽光と蓄電池を別々に提示
B社からは太陽光とPowerwallをそれぞれ独立した見積書で受け取りました。パネルはカナディアンソーラーとハンファの2パターンです。
B社 プランA:カナディアンソーラー 9.765kW
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 太陽電池モジュール(465W×21枚) | 869,400円 |
| パワーコンディショナー(屋外用) | 268,800円 |
| リモコン(パワコン一括制御用) | 15,900円 |
| ケーブル(3系統分) | 41,400円 |
| 架台 | 56,600円 |
| モジュール設置工事(9.765kW) | 506,600円 |
| 電気工事 | 169,700円 |
| 申請費用(結線図設計含む) | 25,200円 |
| 合計(税込) | 2,108,145円 |
1Wあたりの単価:約216円(税込) / 年間発電量シミュレーション:11,470 kWh
B社 プランB:ハンファ Q.PEAK DUO S-G11 9.275kW
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 太陽電池モジュール(265W×35枚) | 490,000円 |
| パワーコンディショナー(屋外用) | 282,100円 |
| リモコン | 15,700円 |
| ケーブル(4系統分) | 61,600円 |
| 架台 | 98,900円 |
| モジュール設置工事(9.275kW) | 494,200円 |
| 電気工事 | 169,700円 |
| 申請費用 | 25,200円 |
| 合計(税込) | 1,791,945円 |
1Wあたりの単価:約193円(税込) / 年間発電量シミュレーション:11,213 kWh
B社のPowerwall見積もり(1台・2台)
| 台数 | 内訳(税込) | 合計 |
|---|---|---|
| Powerwall 1台(13.5kWh) | 本体・Backup Gateway・設置・電気工事・申請費など一式、値引き△170,545円含む | 1,700,000円 |
| Powerwall 2台(27kWh) | 本体2台・Backup Gateway・設置・電気工事・申請費など一式、値引き△320,545円含む | 2,800,000円 |
Backup Gatewayの費用や転倒防止工事など、本体価格以外にも相応のコストが乗ってくる点は、頭に入れておいた方がよいところです。
2社4パターンを同じ指標で比較する
フォーマットが異なる2社の提案を、できる限り同じ軸で並べると以下のようになります。
| パターン | パネル容量 | 蓄電池 | 本体価格(税込) | 補助金合計 | 実質負担額 | 年間発電量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A社 ① | 11kW(実質9.9kW) | Powerwall 13.5kWh | 3,459,500円 | 50,000円 | 3,409,500円 | 12,684 kWh |
| A社 ② | 11kW(実質9.9kW) | LiB Tower Pro 14.9kWh | 3,239,500円 | 557,900円 | 2,681,600円 | 12,684 kWh |
| B社 プランA+Powerwall 1台 | 9.765kW | Powerwall 13.5kWh | 3,808,145円 | 50,000円 | 3,758,145円 | 11,470 kWh |
| B社 プランB+Powerwall 1台 | 9.275kW | Powerwall 13.5kWh | 3,491,945円 | 50,000円 | 3,441,945円 | 11,213 kWh |
この表を見て個人的に最も驚いたのは、A社①とA社②の実質差額が約73万円になるという点です。本体価格の差は約22万円に過ぎませんが、LiB Tower ProはDR補助(約46万円)の対象となるため、補助金込みで一気に開きます。
前回の費用回収シミュレーション、実額で見直すと?
前回の試算では「Powerwallルート約360万円、回収約14年」という数字を出していました。今回の実額を当てはめると以下のようになります。
| 比較項目 | 前回試算(9.9kW) | A社①(11kW+PW) | A社②(11kW+LiB) |
|---|---|---|---|
| 実質初期費用 | 約360万円 | 約341万円 | 約268万円 |
| 年間発電量 | 約13,662 kWh | 12,684 kWh | 12,684 kWh |
| 年間経済効果(1〜4年目) | 約41万円 | 約39万円 | 約39万円 |
| 概算回収期間 | 約14年 | 約8〜9年 | 約7年 |
蓄電池の選択:73万円の差額を前に、さらに悩んでいる
A社②(LiB Tower Pro)は補助金効果で実質268万円まで下がります。年間経済効果が同水準であれば、回収期間は約7年という計算になります。前回試算の14年から大幅に短縮されており、正直これは想定外の数字でした。
今回の発表、何が新しいのか
正直に書きます。ここまでPowerwallほぼ一択で考えてきました。テスラアプリで太陽光・蓄電池・EV充電を一元管理できるあの体験は、ガジェット好きとしては単純に魅力的ですし、モデルYとの親和性も高い。
ところが今回の見積もりで、想定以上の差が出てきました。補助金を含めた実質負担額で約73万円の開きです。
これだけの差が出る主な理由は、DR補助(令和7年度補正)の対象にPowerwallが含まれていないことです。LiB Tower Proは457,900円のDR補助が適用されるのに対し、Powerwallは太陽光分の50,000円のみ。この差は「テスラとの相性」という定性的なメリットだけで埋めるには、少し重い金額になってきました。
もうひとつ、少し長期的なことも考えています。「自分が次もテスラを選ぶかどうか」という話です。モデルYには満足しています。ただ10年後のEV市場がどうなっているかは誰にもわかりません。LiB Tower Pro+V2H機器の構成なら、将来テスラ以外のV2H対応EVとも組み合わせることができます。蓄電池は20年近く使うものです。「今の愛車との相性」だけで選んでいいのか、という疑問が頭をよぎっています。
- Powerwallにしたい気持ち:「テスラアプリで全部つながる体験が魅力」「停電時の自動切り替えが速い」
- Powerwallをためらう気持ち:「補助金の差額が想定より73万円も大きかった」「10年後も同じ選択が最適かわからない」「回収期間がLiB Tower Proの方が約7年早い」
結論はまだ出ていません。気になる点もいくつかありますが、決断するにはもう少し整理が必要です。
次のアクション
- DR補助の要件確認:Powerwallが完全に対象外なのか、条件次第で一部適用できるのかを確認する
- B社のLiB Tower Pro見積もり取得:B社はPowerwallのみの提示だったため、LiB Tower Pro構成の価格も依頼して横比較を完成させる
- 最終判断:補助金込みの実質コストと回収期間が揃った段階で決める
「どこに発注したか」「補助金は実際にいくら使えたか」「最終的な実質費用はいくらか」——次の記事でまた数字ごとお伝えします。
データ出典:各社提供の見積書・シミュレーション資料(2026年4月)、発電量シミュレーション資料(茨城県参照値)。記載の金額はすべて税込の概算値であり、現地状況によって変動します。補助金額は申請時の残額・要件によります。
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