2026年4月テスラの3列シートSUVの選択肢が変わりました。
テスラジャパンは2026年4月3日、待望の新型EV「モデルY L」を日本でも正式に発売開始しました。価格は749万円(税込)で、デリバリーは4月末より順次開始予定です。
これにより、テスラモデルXの「EV×3列シート×ファルコンウィング以外の選択肢」が登場したことで、私自身も改めて頭を整理したくなりました(※テスラモデルXは現在販売終了)
筆者はモデルYを2年間所有し、主に自宅で充電しながら日々運用しています。子どもが2人おり、チャイルドシートの着脱や狭い駐車場でのドア操作など、「3列シートへの需要」を肌で感じているオーナーの一人です。
これまでは、モデルX1択でしたが、今回新たに発売されたモデルYLにも非常に興味があり、今回は「モデルX中古(2021年以前)」と「モデルY L新車」を、購入コスト・補助金・売却時の残存価値まで含めたトータルコストで比較してみようと思います。
まず前提を揃える——比較の条件設定
今回の比較は以下の条件を前提とします。
モデルX中古(2021年以前)は、流通量が比較的安定している2019〜2020年式のロングレンジ系を想定し、車両本体価格を550万円、諸費用込みで580万円と置きます。モデルY Lは749万円の新車価格に諸費用を加えた760万円程度を出発点とし、補助金を差し引いた実質取得コストで比較します。
補助金:新車と中古では「ルールが根本的に異なる」
2026年4月以降のCEV補助金は、Model 3・Model Yの全グレードで127万円、Model S・Model Xは101.6万円となっています。
ただし、中古車はCEV補助金の対象外です。補助金は新車購入時のみに適用されるため、2021年以前のモデルXを中古で購入した場合、補助金は一切受け取れません。
補助金を受給するには対象車両を4年間保有する義務があります。 この点は、モデルY Lを購入後2年で売却するシナリオを考える際に重要な制約になります。
また、居住地による上乗せ補助金も見逃せません。東京都在住の場合、国のCEV補助金127万円に加え、都のZEV補助金80万円を合わせた最大207万円の補助金が受けられます。
購入価格と実質取得コスト
| 項目 | モデルX中古(2020年式) | モデルY L(新車) |
|---|---|---|
| 車両価格(想定) | 550万円 | 749万円 |
| 諸費用(概算) | 30万円 | 11万円 |
| CEV補助金 | 対象外 | ▲127万円 |
| 実質取得コスト | 約580万円 | 約633万円 |
新車・中古の差は表面上約200万円ですが、補助金127万円が加わることで実質差はおよそ53万円まで縮まります。
2年・4年・6年後の売却シナリオ比較
EVのリセールは一般的にガソリン車より厳しいと言われています。特に2021年以前のモデルXは、ソフトウェアのOTA更新が現行世代より制約されており、モデルチェンジの影響を強く受けやすい構造です。一方、モデルY Lは2026年発売の最新世代であり、少なくとも発売後数年は「現行機」としての価値を維持しやすいと見られます。
以下は売却価格の推計を含むトータルコスト試算です(売却価格は市場相場を参考にした概算値です)。
■ 2年後売却シナリオ(2028年)
| 項目 | モデルX中古 | モデルY L新車 |
|---|---|---|
| 取得コスト | 580万円 | 633万円 |
| 想定売却価格 | 約380万円 | 約540万円 |
| 補助金返還 | なし | 注意要(※) |
| 実質負担(2年) | 約200万円 | 約93万円〜 |
(※)モデルY Lは4年保有義務があるため、2年での売却は補助金の一部返還が生じる可能性があります。返還額の計算方法は補助金交付先(次世代自動車振興センター)の規定に従います。補助金返還リスクを考慮すると、2年売却は現実的ではありません。
■ 4年後売却シナリオ(2030年)
| 項目 | モデルX中古 | モデルY L新車 |
|---|---|---|
| 取得コスト | 580万円 | 633万円 |
| 想定売却価格 | 約230万円 | 約400万円 |
| 補助金返還 | なし | なし(4年経過) |
| 実質負担(4年) | 約350万円 | 約233万円 |
4年時点では、モデルY Lの実質負担がモデルX中古を約117万円下回る見込みです。モデルX(2020年式)は2030年時点で10年落ちに近づき、EV市場での流動性も下がります。
■ 6年後売却シナリオ(2032年)
| 項目 | モデルX中古 | モデルY L新車 |
|---|---|---|
| 取得コスト | 580万円 | 633万円 |
| 想定売却価格 | 約140万円 | 約280万円 |
| 補助金返還 | なし | なし |
| 実質負担(6年) | 約440万円 | 約353万円 |
6年保有でも約87万円、モデルY Lが有利という結果になります。保有期間が延びるほど、最新世代の優位性がより鮮明に現れます。
見落としやすい「隠れコスト」
試算に含まれない費用としてもう一点触れておきます。
モデルX中古(2021年以前)は、バッテリーの経年劣化リスクに加え、整備コストが現行世代より割高になる傾向があります。テスラの場合、正規ディーラー以外でのパーツ入手が難しいモデルもあるため、突発的な修理コストを見込んでおく必要があります。
一方、モデルY Lは発売直後のため、2026年4月1日〜6月30日注文・納車分を対象に、3年間のスーパーチャージャー利用料が無料になるキャンペーンの対象となっています。走行距離が多い方にとっては、実質的なコスト軽減効果が加わります。
数字が示す結論
試算を並べていると、ふと気づくことがあります。「どちらが安いか」という問いに答えを出すのは、実はそれほど難しくありません。難しいのは、その数字が自分の日常にどう重なるかを想像することです。
私自身、モデルYに乗りながら子どもたちのチャイルドシートの着脱を繰り返すなかで、「3列目があればどう変わるだろう」と考えたことは一度や二度ではありません。旅行のたびにラゲッジを圧迫するベビーカーを眺めながら、ファルコンウィングの開く空間に憧れたこともあります。
それでも今回の試算を改めて見渡すと、4年・6年という現実的な保有期間において、モデルY Lはコスト面で一貫してモデルX中古を上回ります。補助金127万円が実質差を縮め、最新世代ゆえのリセール優位がその差をさらに広げていく構造です。
モデルXが持つ存在感や、ファルコンウィングドアが狭い駐車場で発揮する実用性は、数字には現れない価値です。「ああいう車に乗りたい」という気持ちは、合理性では割り切れないものがあります。それを否定するつもりはまったくありません。
ただ、ファミリーカーとしての実用性とコスト最適化の両方を同時に求めるのであれば、2026年の今、モデルY Lという選択肢はかなり現実的な着地点になりつつあります。補助金の4年保有義務を前提に、売却のタイミングまで最初から設計しておくその一手間が、長い目で見たときの後悔を大きく減らしてくれるはずです。
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