EVはタイヤ代がかさむ?2026年導入の「摩耗規制」と、重い車重を支える専用タイヤ選びの正解

電気自動車(EV)に乗り換えて驚くことの一つに、「タイヤの減りの早さ」があります。ガソリン車と同じ感覚で乗っていると、予想以上のペースで溝がなくなっていく現実に戸惑うオーナーも少なくありません。

さらに2026年は、タイヤにまつわる大きな転換点となります。欧州を中心に、排ガスだけでなく「タイヤの摩耗粉」そのものを規制する新しい環境基準「Euro 7(ユーロ7)」が本格始動するからです。

今回は、なぜEVのタイヤは摩耗しやすいのか、そして2026年からの新時代に求められる「賢いタイヤ選びとメンテナンス」について解説します。

なぜEVのタイヤ寿命は短いのか?2つの主な理由

一般的に、EVのタイヤ寿命はガソリン車に比べて2割から3割ほど短いと言われています。その理由は、EV特有のメカニズムにあります。

  1. 大容量バッテリーによる「重量」の負荷 EVは底面に巨大なバッテリーを積んでおり、同サイズのガソリン車よりも200kg〜500kgほど重くなるのが通例です。この「常に重い荷物を積んで走っている状態」が、タイヤのゴムに強い圧力をかけ続け、摩耗を早めます。
  2. モーター特有の「強力なトルク」 エンジン車は回転数が上がるにつれてパワーが出ますが、EVはアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発生させます。この強力な蹴り出しが路面との摩擦を強め、特に発進時にタイヤを削り取ってしまうのです。

2026年11月始動!世界初の「タイヤ摩耗規制(Euro 7)」とは

これまで自動車の環境規制といえば「排ガス」が中心でしたが、2026年11月以降、欧州で新たに型式指定を受ける車両には「Euro 7」が適用されます。この規制では、世界で初めて「タイヤやブレーキから出る粉塵(マイクロプラスチック)」が規制対象となります。

EVは排ガスを出さないクリーンな乗り物ですが、車重が重いためにタイヤの摩耗粉はガソリン車より多く出やすいという皮肉な側面があります。この規制により、今後は「減りにくく、環境負荷の低いタイヤ」であることが、これまで以上に厳しく求められるようになります。

2026年以降、タイヤメーカー各社からはこの規制をクリアした「次世代のEV専用タイヤ」が続々と登場することになるでしょう。

一般タイヤと「EV専用タイヤ」は何が違うのか

タイヤ交換の際、安価な汎用タイヤを選びたくなるかもしれませんが、EVには「専用タイヤ」を強くおすすめします。専用タイヤには、EVの弱点を補うための特別な設計が施されているからです。

・高剛性構造:重い車重を支えるため、タイヤ内部の骨格が強化されており、たわみを抑えて偏摩耗を防ぎます。 ・専用コンパウンド:強力なトルクでも滑りにくく、かつ摩耗しにくい特殊なゴムが採用されています。 ・静粛性への配慮:エンジン音がないEVではロードノイズが目立つため、タイヤ内部に吸音スポンジを入れるなどの対策がされています。

価格は汎用タイヤより数割高い傾向にありますが、寿命の長さと電費(燃費)の向上を考えれば、トータルのコストパフォーマンスは専用タイヤの方が優れているケースが多いのです。

今日からできる!タイヤ寿命を最大化する3つの秘訣

高価なタイヤを少しでも長く持たせるために、オーナーができるメンテナンスは以下の3点です。

  1. 空気圧を「高め」に維持する EVは重いため、指定空気圧より少しでも低いとタイヤが潰れ、両端が極端に摩耗します。月に一度は必ず空気圧をチェックし、指定値を守る(あるいは10kPaほど高めに設定する)ことが寿命を延ばす最大の近道です。
  2. 「急」のつく運転を控える EVの加速は快感ですが、信号待ちからの急発進はタイヤを最も痛めます。エコモードなどを活用し、滑らかな発進を心がけるだけで、タイヤの寿命は劇的に変わります。
  3. 定期的な「ローテーション」の実施 EVは回生ブレーキの特性上、前輪(または駆動輪)への負荷が偏りやすい傾向があります。5,000km〜10,000kmごとに前後左右のタイヤを入れ替えることで、全体を均一に摩耗させることができます。

まとめ:2026年は「足元」から環境を考える年に

排ガスゼロのEVに乗ることは、すでに素晴らしい環境貢献です。そして2026年からは、もう一歩進んで「タイヤの摩耗」という視点を持つことが、真のエコドライバーの条件となります。

「重くて力強い」というEVの特性を理解し、適切なタイヤを選んで丁寧にメンテナンスする。その小さな積み重ねが、あなたの財布を守り、同時に地球の海や空を守ることにつながります。


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