レクサスのEV戦略を読み解く:2030年に向けた未来図

トヨタの高級車ブランドであるレクサスは、2030年代に向けてEV(電気自動車)戦略を加速させています。世界的にEV市場は成長を続ける一方、日本では普及率が依然として低い状況です。そうした中で、レクサスはどのような未来像を描いているのでしょうか。最新の発表や時事ニュースをもとに、その展望を整理します。

2035年「フルEV化」へのロードマップ

レクサスはすでに「2035年までにグローバル全車種をEV化する」という目標を掲げています。

https://lexus.jp/models/bev/philosophy/

これは単なる「電動化」ではなく、ガソリン車やハイブリッド車をすべて排除し、完全にバッテリー駆動車だけで勝負するという強気の宣言です。トヨタが「全方位戦略」としてハイブリッドや水素燃料電池も含め多様な技術を推進する中、レクサスはより明確にEV専業ブランドへと舵を切っています。

2025年以降の新モデル展開

直近の展開として注目されるのが、2026年モデルとして発表された新型「ES」セダンです。従来のハイブリッド仕様(350h)に加えて、BEV(350e/500e)が設定され、航続距離は約480kmに達するとされています。これにより、従来の「高級セダンはハイブリッドが主流」というイメージが変わり、EVがプレミアム領域でも主役を担う兆しが見えてきました。

さらに2026年には大型SUV「TZ(仮称)」のEVが投入予定であり、2027年には次世代SUVやクーペEVの展開も控えています。今後2〜3年で、ラインナップの中核を担うモデルに次々とEVが追加される計画です。

先進技術で「レクサスらしさ」を維持

「走りの楽しさ」をブランド価値としてきたレクサスにとって、EV化は単に動力源を置き換えるだけではありません。すでに発売済みのクロスオーバーEV「RZ」では、ステア・バイ・ワイヤ(ハンドルと前輪を物理的に繋がない制御システム)が搭載されており、より直感的な操縦感覚を提供しています。

これはEV時代の「高級車らしさ」を再定義する技術といえます。今後もインターフェースや車内エンタメとの統合など、ソニーやAppleが得意とする領域に近い差別化が進むと考えられます。

生産体制の再編:中国にEV専用工場

生産面でも大きな動きがあります。2025年2月、トヨタは中国にレクサス向けのEV・バッテリー生産の完全子会社を設立し、2027年から年産10万台を目指すと発表しました。

これは「高級車EVを中国でつくる」という戦略的な一歩であり、現地市場を狙うだけでなく、グローバル供給網を最適化する狙いがあります。人件費やバッテリー調達コストの観点からも合理的であり、将来的には日本や欧州市場向けモデルも中国で生産される可能性が高いと考えられます。

欧州市場での「先行EV化」

すでに欧州ではレクサスのEV戦略が成果を上げています。2025年上半期、西ヨーロッパにおけるレクサス販売は「100%電動化(HEV+BEV)」を達成しました。その中でもBEVの比率は徐々に高まりつつあり、同地域での販売実績は今後のグローバル展開を占う試金石となっています。

つまり「欧州での成功」が、北米や日本市場におけるEVシフトを後押しするシナリオが現実味を帯びてきたといえるでしょう。

日本市場へのインパクト

日本ではEV普及率が依然として低水準にとどまっています。2024年時点でのBEV比率はわずか1.3%程度に過ぎません。しかし、レクサスのような高級ブランドがEVラインナップを拡充することで「富裕層やプレミアムユーザーがまず乗り換える」というシナリオが考えられます。

参照:https://www.nttev.com/column/ev_initiatives_japan_world/?utm_source=chatgpt.com

これはかつてハイブリッド車が「クラウン」や「プリウス」から普及した流れに近いものです。レクサスが普及の“けん引役”となるかどうかは、価格設定と充電インフラ整備のスピードにかかっています。

今後の展望:レクサスEVはどこへ向かうか

総合すると、レクサスのEV戦略は次の3点に集約できます。

  1. モデルラインナップの急速拡充2025〜2027年に主要モデルのEV化を進め、ラインナップ全体のBEV比率を引き上げること。
  2. 技術革新による差別化ステア・バイ・ワイヤや先進インターフェースで「レクサスらしさ」をEVでも維持すること。
  3. グローバル生産・販売戦略中国での生産体制構築や欧州での先行成功を活用し、2030年に向けて世界市場を取り込むこと。

こうした動きを見ると、レクサスは「高級EV市場における日本勢の切り札」としての地位を固めつつあります。今後数年間の新型車の成否が、2030年以降のブランド存続を左右することになるでしょう。


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