電気自動車(EV)といえば、少し前まではテスラや日産リーフといったイメージが強かったかもしれません。
しかし、今や世界のEV市場は「中国勢が主役」といっても過言ではない時代に突入しています。
BYD、NIO、小鵬汽車(Xpeng)、理想汽車(Li Auto)など、新興ブランドが次々と世界進出を果たし、販売台数・技術力ともに急成長。
一方で、日本はEVの世界競争で出遅れ感が拭えないという声も少なくありません。
この記事では、
- 中国EVの進化の理由
- なぜ日本は出遅れてしまったのか
- 両国の戦略の違いと今後の展望
について、EV初心者にもわかりやすく解説していきます。
中国EVは「価格・性能・開発スピード」で世界をリード
まずは、事実として中国のEVがどれほど進化しているかを見てみましょう。
世界のEV販売台数(2024年実績)
| メーカー名 | 本社国 | EV販売台数(台) |
|---|---|---|
| BYD | 中国 | 約320万 |
| Tesla | アメリカ | 約185万 |
| VWグループ | ドイツ | 約75万 |
| SAIC-GM-Wuling(五菱) | 中国 | 約50万 |
| BMW | ドイツ | 約45万 |
※PHEVを含む電動車両を含む集計もあり。出典:各社IR資料・EV Volumes(2025年発表)
ご覧の通り、世界トップ5のうち3社が中国メーカー。中でもBYDはEV+PHEV合計で世界販売1位を記録しました。
さらに注目すべきは価格と性能のバランス。たとえば、BYDのコンパクトEV「DOLPHIN」は日本で約360万円ですが、中国国内では200万円台から購入可能。これが航続距離400km前後というから驚きです。
日本が出遅れた3つの理由
では、なぜ日本はEVで遅れを取ってしまったのか?その背景には以下の3つのポイントがあります。
理由① ハイブリッド(HV)成功の“成功体験”に縛られた
日本のトヨタ・ホンダ・日産は、早くからハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)で世界をリードしてきました。
燃費性能・技術力・品質の高さは評価され続けており、特に国内では「HVがベスト」という空気感が定着しています。
結果として、多くのメーカーがEV開発への本格投資を後回しにし、市場の変化への対応が遅れたのです。
加えて、トヨタのように「EV一本化に懐疑的」なスタンスが業界全体の足並みをそろえにくくしていた面もあります。
理由② 国のEV政策・インフラ整備のスピード感の差
中国では2009年から国家プロジェクトとしてEVシフトが始まり、政府主導で次のような政策が進められてきました。
- 購入補助金(最大60万円超)
- ナンバープレート優遇(EVなら即日交付)
- EV専用レーン、タクシー・バスのEV義務化
- 巨額のインフラ投資による急速充電網整備
一方、日本ではようやく「2035年ガソリン車新車販売ゼロ」などの方針が打ち出されたものの、補助金・インフラ・法整備すべてが“段階的で遅い”のが現実です。
結果、ユーザー側の不安(充電できる?高すぎない?)が解消されず、普及にブレーキがかかっています。
理由③ 中国は「EVファースト」な新興メーカーが多い
日本の自動車メーカーは、すでに強固な販売網・エンジン技術・部品産業の生態系を持っているため、構造改革に時間がかかります。
一方、中国のNIO、Xpeng、Li Autoといった新興EVメーカーは、最初から「EV専業」で立ち上がった企業。
レガシーがない分、設計もサービスもデジタルネイティブ&ゼロベースで構築されているため、スピード感がまったく違います。
さらに、OTA(Over The Air)でのソフト更新、自動運転レベルの高さ、AI活用の積極性などでも、“家電のような車”という発想でユーザーに刺さる仕様を次々に投入しています。
中国EVの強さは“バッテリー”にあり
EVの心臓部である「バッテリー技術」でも、中国勢は先行しています。
- CATL(寧徳時代):世界最大のEV用電池メーカー(BYDにも供給)
- BYD:独自の「ブレードバッテリー」で安全性と低コストを両立
これらの企業は、バッテリー開発と車両開発がセットで進められているため、価格競争力と航続性能の両立が可能なのです。
日本勢は、パナソニックやエンビジョンなどのサプライヤーと連携しつつも、自社完結モデルではないため開発スピードで劣勢となるケースも。
とはいえ、日本にも逆転のチャンスはある?
日本がEV後進国と言われる一方で、全てを悲観する必要はありません。
むしろ、これからの戦略次第で**「品質×EV」や「ハイブリッド技術の応用」など、独自の強みを発揮するチャンス**があります。
今後に向けて考えられるアプローチは:
- 小型車・軽自動車EVでの巻き返し(例:日産サクラ)
- バッテリー交換式EVやV2Hなどのユースケース提案
- エネルギーと連動した「スマートEVインフラ」への統合
- 海外新興企業との連携・技術提携
単に価格勝負ではなく、“安心・安全・品質・使いやすさ”を軸に勝負する路線も、日本ならではの勝ち筋かもしれません。
まとめ|EV戦争の主導権を握るのは「変化に乗れる者」
中国のEVがここまで進化した背景には、
- 政策・インフラをフル活用した国家レベルの支援
- 初期からEV専業で挑む企業の柔軟性
- バッテリーやソフトウェアを軸にした新しい自動車像
といった要因があります。
一方、日本は既存の強みが足かせとなり、変化のスピードについていけていない現実もあります。
ただし、自動車業界は10年単位での変化が前提。今からでも「EV+日本らしさ」で世界に通用する車づくりは十分可能です。
ユーザーとしては、こうした国やメーカーの動向を知ることが、次の一台をどう選ぶかの判断材料にもなります。
今後も、EV戦国時代の行方から目が離せません。
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