近年、日本でも急速に存在感を高めている中国EVメーカー「BYD(ビーワイディー)」。
テレビCMや街中で見かける機会も増え、「聞いたことはあるけど、どんな会社?」「どうして日本に進出してきたの?」と気になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、BYDの会社概要・グローバルでの実績・日本進出の背景・注目モデル・強みと課題まで、EV初心者にもわかりやすく解説します。
BYDとは?〜世界トップクラスのEVメーカー〜
BYDは中国・深圳(シンセン)に本社を構える世界最大級の電気自動車メーカーです。1995年に創業し、もともとは携帯電話用バッテリーの開発からスタート。
その後、バッテリー技術を強みに自動車事業へ進出し、現在ではEV(電気自動車)とPHEV(プラグインハイブリッド)を中心にグローバル展開を進めています。
基本データ(2025年時点)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | BYD Company Limited(比亜迪股份有限公司) |
| 設立 | 1995年 |
| 本社所在地 | 中国・深圳 |
| 従業員数 | 約57万人(グループ全体) |
| 主な事業 | EV/PHEV車両、バッテリー、半導体、太陽光発電、バス、モノレール など |
| 海外展開 | 日本、欧州、東南アジア、南米など70か国以上 |
世界販売台数はテスラを上回る時代に
BYDは2022年にEV+PHEVの合計販売台数でテスラを抜き世界1位に。
特に中国国内では圧倒的なシェアを誇り、2023年以降は欧州・東南アジア・南米でも販売網を拡大。2024年には欧州で生産拠点の設立も発表されました。
※EV単体ではテスラに次ぐ2位だが、PHEVを含めた電動車両の総販売数では首位
なぜ今、BYDは日本市場に本気を出してきたのか?
BYDは以前から日本市場にバスや電池の輸出を行っていましたが、2023年から本格的に乗用EVの販売を開始しています。
その背景には、以下の3つの要因があります。
1. 日本のEV市場が“これから”本格化する
政府は2035年までにガソリン車の新車販売をゼロにする目標を掲げており、EVの普及はこれから本格的に進む段階です。
BYDにとっては「ブルーオーシャンに近い市場」として、日本市場は非常に魅力的に映っています。
2. 日本の既存メーカーにない“ポジション”を狙える
日本の自動車メーカーは、ハイブリッドやPHEVを中心に展開してきました。一方、BYDは完全なBEV(Battery Electric Vehicle)での勝負に強みがあります。
「EVの選択肢がまだ少ない日本だからこそ、存在感を出せる」という戦略です。
3. 世界展開の“信頼獲得拠点”としての日本
日本市場は自動車品質に厳しい国です。BYDにとってここで信頼を獲得できれば、他国市場にも良い影響が出ると見られています。
いわば「ブランドの信頼性を高める踏み台」とも位置づけられているのです。
日本で買えるBYDの車種一覧(2025年時点)
| モデル名 | タイプ | 航続距離(WLTC) | 価格(税込) | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| DOLPHIN(ドルフィン) | コンパクトハッチバック | 約400km | 約363万円 | 日本初上陸モデル。ポップな内装・デザインと取り回しの良さが魅力。街乗りやセカンドカーに最適。 |
| ATTO 3(アットスリー) | CセグメントSUV | 約470km | 約460万円 | ファミリー層に人気。高いコストパフォーマンスと広い室内空間。内装は近未来的で遊び心あり。 |
| SEAL(シール) | ミドルサイズセダン | 約550km | 約550万円〜 | テスラ・モデル3の対抗馬。高性能モーターと洗練された走行性能、スタイリッシュな外観が特徴。 |
| SEALION 7(シーライオン7) | クロスオーバーe‑SUV | 約600km(ロングレンジ仕様) | 約620万円〜 | BYD最上位モデル。高級感・航続距離・装備の全てをハイレベルで実現したフラッグシップSUV。 |
※価格・航続距離はメーカー公式サイトや報道発表に基づき、2025年8月時点の情報です。グレードにより異なる場合があります。
BYDの強みとは?他メーカーと違う3つの特徴
1. 自社開発のバッテリー技術(ブレードバッテリー)
BYDの車両には「ブレードバッテリー」と呼ばれる独自開発のリチウム鉄リン酸(LFP)バッテリーが搭載されています。
この技術により、高い安全性・長寿命・コスト低減を実現しており、他メーカーにとっても脅威とされています。
2. 自社でEVの中核部品を“ほぼ内製化”
BYDは車両だけでなく、モーター、バッテリー、パワーコントローラーなどの主要パーツをすべてグループ内で製造しています。
これにより、コスト競争力・供給安定性・開発スピードが他社よりも優れています。
3. 高機能ながら価格が“明確に安い”
同等スペックのEVと比べても、BYDの車両価格は50〜100万円ほど安い傾向があります。
「初めてのEVにちょうどいい」と感じる価格帯・サイズ感が日本市場とマッチしています。
一方で、BYDが直面する課題もある
どんなに性能や価格が優れていても、日本市場で成功するには以下のようなハードルがあります。
1. ブランド認知・信頼の浸透には時間がかかる
日本では「中国製=安かろう悪かろう」という根強いイメージが残っているのも事実。
高品質を訴求しつつ、ユーザーの実体験を積み重ねていく必要があります。
2. 販売・サービス網の構築が発展途上
現在、全国に順次ディーラー網を広げている最中ですが、まだ一部地域に偏っている状況です。
アフターサービスや整備の安心感が浸透するまでは時間がかかるでしょう。
3. EVインフラとの連携強化
日本ではまだ急速充電器の整備が十分とは言えず、「EVは不便」と思われがちです。
BYD自身がインフラ整備にどう関与できるかも、今後の鍵になります。
まとめ|BYDは“価格と実力”を兼ね備えた新勢力。今後の展開に注目
BYDは単なる「中国メーカー」ではなく、グローバルでEV時代を牽引するトッププレイヤーです。
高性能・高安全・低価格という三拍子がそろった車両を武器に、今後ますます日本市場での存在感を高めていくことでしょう。
これからEVを検討する方にとって、BYDは「買う前に必ずチェックすべきブランド」の一つになるはずです。
今後は「日本での販売戦略」「口コミ・評価」「日本メーカーとの競合」なども注目されるテーマ。引き続き情報を追いかけていきましょう。
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